MENU

原宏一「ヤッさんⅢ 築地の門出」

私も身体を作ることを考えないとな。

「ちなみに、移転を乗り越えられた一番の理由って何ですか?」

タカオは尋ねた。すると、大旦那にとっては何度となく投げかけられた質問なのだろう、
「そりゃもう、浮き足立ったら負けってこったな」
即答してくれた。

原宏一「ヤッさんⅢ 築地の門出」

「馬鹿野郎、そこが違うってんだ。追い詰められた挙げ句に逃げ出しちまったり。何もやらねえまま店を潰しちまったりするより、やるだけやってきっぱり諦めたほうがはるかに前向きだし、再出発だってしやすいだろうが。違うか?」

原宏一「ヤッさんⅢ 築地の門出」

「ただ、いまはもう親父もあっけらかんとしたもでしてね。振り込んだ金はまず戻らないだろうって警察の人から言われたんですけど、そのかわり、もっと大事なものが三つも戻ってきたから、もういいって」
「それ、何ですか?」
「ひとつは息子、ひとつはヤッさん、そしてもうひとつは、料理人魂だそうです」
「ああ、そう言われると救われますね」

原宏一「ヤッさんⅢ 築地の門出」
ヤッさんIII 築地の門出 (双葉文庫)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

仕事でワードプレスのサイトを3つ(通常サイト、会員サイト、コミュニティサイト)運営しています。
こちらは、プライベートなサイト(メモ用)の一つです。
サイト運営はしていますが、サイト構築系に関しては素人なので、勉強中です。

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次