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これぞ!
読後感、最高。こういうのですよね。今の気分は。
短い話の世界が絡み合って、伊坂幸太郎的世界を堪能いたしました。
引用
「あるよ。だって、加賀の親父が情けないかどうかは、人それぞれが感じることで、誰かが決められることじゃないんだ。『加賀の親父は無職だ』とは言えるけど、『情けないかどうか』は分からない。だいたい、そいつらは、加賀のお父さんのことを何も知らないんだ。だから、ちゃんと表明するんだ。僕は、そうは思わない、って。君の思うことは、他の人に決めることはできないんだから」
伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
「僕は、そうは思わない」と表明すること。
「草壁、それは違う、さっきも言ったように、ソクラテスさんは、自分が完全じゃないと知っていたんだから。久留米先生は、その反対だよ。逆」
伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
だから、「逆ソクラテス」。
「悪いことをすれば法律で罰せられる。スポーツのルールもそうだ。だけど、その法律やルールブックには載っていないこともたくさんある。法律には載らないような、ずるいことや意地悪なこともある。そしてね、人が試されることはだいたい、ルールブックには載っていない場面なんだ。先生はそう思う。この間、先生が会った人は、自分が直接関わったわけじゃない出来事について、くよくよ悩んでいた。間接的にだけれど、自分のせいで誰かが傷ついていたんじゃないかと苦しんでいたんだ」
伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
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